コラム「三角の窓から」

判決を前に

カテゴリー:風子のひとりごと

6月19日、午後2時から

昨年末に起きた吉野川市DV被害者殺害事件の判決である。

おりしも国会ではこの日、DV防止法の第二次改正が議論されるようだ。

この裁判で傍聴してきた内容からは、情状酌量に値するものはほとんど皆無。

ここに至っても加害者は「妻が悪い」を繰り返していて、聞いているほとんどの人は

あきれ果てて、途方に暮れている。

正直、本当に途方に暮れてしまう、のである。

どうすればこのような事を防げるか、

DV法の中で何とかこうした事件を防止する策をと願ってきたが、この事件を検証する

につれて「絶対に起こさない」対策がいかに難しいか。

この事件にかかわる多くの人が、DVの重さ、解決の遠さを実感してきたと思う。

 

途方に暮れる中で、かろうじて見つけたことを書いておきたい。

米国でもDV法が導入された直後から、保護命令を逆恨みしての殺人事件が増えたらしい。

地域でDVFZ(ドメステイックバイオレンスフリーゾーン)宣言をして、地域のあらゆる人と

連携してDV根絶に取り組み、地道な努力を積み重ねて現在に至っているという話。

それは、ここでも同じである。

一気に解決できる万能な対策はない。

この街で、この事件に触れた人それぞれの思いを形にしていく、ということである。

 

もうひとつ。加害者が名指しで「支援者に復讐する」と言っていることについて。

つい先日、60年ぶりに「更正保護法」という法律が成立した。

この法律は、保護観察や仮釈放後の加害者の再犯防止を主な目的としたもの。

今回の加害者への対策としては期待できるところである。

 

加害者をどうするのか、加害者対策をめぐっては、まだまだDV法の中で扱えていない。

夫婦や恋人など、最も親密な人同士のかかわり方、暴力のない関係がごく当然である

という社会全体のコンセンサスがまだまだ足りなすぎる。

この事件の加害者がとびきり特別な人であるなら、私たちもここまで途方に暮れない。

どこにでもいる、よくあるその辺の男の感覚。

女性を自分の思い通りにして当然という感覚。怖がらせて人を操る感覚。

自分こそが被害者であるという強い被害感情は、ネットの中若い世代にも多い。

 

さて、判決である。

DV防止を旨とする司法の意思表示が問われている。

女性への人権侵害に毅然と立ち向かう法廷であってもらいたい。